近所で工事が始まってから、
うちの子がトイレでずっとおしっこの姿勢してる
出てはいるみたいなんだけど、血が付いてる
大丈夫かしら…
それは、ストレス性膀胱炎かもしれません!
猫に多いこの膀胱炎について解説します
★こういう症状が出たら読みましょう!
- 尿の回数が多い
- 尿に血が混じる
- いつもと違うところで尿をする
- 尿を出すとき痛がる
- 尿を出しづらそうにする
猫のストレス性膀胱炎は、頻繁に繰り返す治りづらい病気です。
猫の気持ちに寄り添って、考えてみましょう。
長くなるので3部作です
- ストレス性膀胱炎の原因
- ストレス性膀胱炎の診断
1.ストレス性膀胱炎の原因
①膀胱炎の原因
まず猫の膀胱炎の原因として、下記の5つが挙げられます。
- ストレス性(特発性)
- 感染
- 尿石
- 尿道閉塞
- 腫瘍
そのうち10歳以上の猫で、最も多い原因がストレス性(特発性)です。全体の65%ほどと言われています。
※特発性という言葉は聞きなれないと思いますが、意味は「原因が特定できない」という意味です。
次に10歳以下の猫では、尿道閉塞、尿石、感染、腫瘍の順番で発生が多いです。一方、10歳以上の猫では、感染が最も多く、次に特発性、腫瘍、尿石、尿道閉塞という順になります
②猫にとってのストレスって?
ストレス性膀胱炎の原因は、ストレスですがストレスでなぜ膀胱炎になるのか、なかなかピンときませんよね。この機序については、未だしっかり解明されていませんが、交感神経の乱れや膀胱粘膜の防御機構の異常、ストレスホルモンの分泌障害などが原因とされています。
では、どのようなことがストレスになるのかというと、例えば
- 引っ越し
- ご家族の生活の変化(子供が大学に行っていなくなった、同居人が増えた、ご自宅での仕事になり一日中家に人がいる)
- 同居猫が増えた、もしくは減った、仲が悪い
- 近所で工事をしている。近所で野良猫が鳴いている
- トイレが嫌い(大きさ、砂の種類、位置、汚れ等)
- 通院
- 関節が痛い、心臓が悪い、歯が痛い、お腹が痛いなどの慢性痛
などなど、本当に様々なことが挙げられます。そのため、なかなかストレス源の特定が難しい場合もあります
③ストレス性膀胱炎になりやすい子の特徴
ストレス性膀胱炎が起こりやすい要因はいくつか言われており、
- 若~中齢の猫に多い
- 肥満の子に多い
- 神経質な子
- 怖がりな子
- オス
- 長毛種
- ドライフードを主に食べている猫
- 水分の摂取量が少ない
- 多頭飼育のおうち
- 食事内容を頻繁に変える
- おうちのトイレが嫌い
に多いとされています。また、この病気の発症に、母親のおなかの中にいたときに母親が受けたストレスがきっかけになっているのでは?という意見や幼少期の環境ストレスがきっかけでは?などの意見もあります。
2.ストレス性膀胱炎の診断
ストレス性膀胱炎の診断方法は、基本的には問診、尿検査、画像検査を用いた除外診断(ストレス性膀胱炎以外の原因はないかを診断する)となります。
①問診にて、今までの尿の病気に関することや、現在のおうちの環境、食べているご飯など様々な変化について伺います
②身体検査にて、全身の状態とともに、膀胱の状態や尿の出どころの異常(砂のようなものが付いてないかなど)などについても確認します。
③超音波検査を用いて、膀胱や腎臓の状態の確認、取れたら採尿し、検査します。必要に応じて、尿の細菌培養検査なども行う場合もあります。
④ストレス性膀胱炎の原因が慢性痛から生じている可能性もあるため、必要に応じて、全身の超音波検査、レントゲン検査や血液検査も同時に行います。
尿検査や画像検査にて、細菌や結晶が否定され、尿の疎通にも問題がなさそうであれば、ストレス性膀胱炎の可能性が高いと判断し、治療を行います。
また、最近ではご自宅でも、猫が血尿しているかの確認ができる商品が開発されています。ご購入は、お近くのかかりつけ病院へ
尿中ヘモグロビンチェッカー – ロイヤルカナン (royalcanin.com)
→【獣医師執筆】猫に多いストレス性(特発性)膀胱炎の原因とその治療法②
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