前編までで多くの方が数年たっていると思います。人によっては病院で主任や副院長などのポストを与えられたりする頃になります。
そして、年は30代…
今後をどうするか悩みます…
このまま総合診療の勤務医として生きていくかと…
いや、専門にしぼって極めに行くべきかと…
それとも、博打に出て一から開業するか?
いや、引退する院長の病院を購入する事業承継という手もあるな…
勤務医のまま50,60,70とそこで働けるのか?途中で首を斬られたら再就職ができるか…
専門の道のりは長く険しい…生涯その分野を勉強し続けられるほどその分野を愛せるのか
一からの開業はロマンあるが失敗したら…何千万と借金を背負うことができるのか
事業承継はうまくいけば最初からカルテがあるのは気持ち的に楽だがそこに伸びしろはあるのか?衰退していくのではないか?
と
そして、その中で一からの開業を選ぶ者たちはこの先を読んでいってください。

- ステップ6:コンサルタント選び
- ステップ7:診療方針の決定
- ステップ8:場所の選定と診療圏調査
- ステップ9:事業計画書と融資申し込み
- ステップ10:内装や医療機器リストアップ
- ステップ11:スタッフ集めと広告
- ステップ12:そして、開業へ
- ステップ6:パートナー選び
ステップ6:コンサルタント選び
開業は一人でやるのは正直難しいです。特に獣医師は勤務しながら開業準備することになるのでとてもではないですが下記のことを一人でこなすのは困難です。そこで開業を手伝ってくれるコンサルタント選びを行います。
例えば
・個人の開業コンサルタント
・開業コンサルタント会社
・医療機器メーカーのコンサルタント
など開業を手伝ってくれるところはいくつかあります。もちろんそれぞれにメリットデメリットはあると思いますし、正解はないかもしれません。私の場合は、知人に先生の紹介で個人のコンサルタントさんにお願いしました。コンサルタントは獣医師に代わりに物件の選定や診療圏調査、資金調達、様々な開業に必要な各種メーカーの紹介などをしてくれます。
選ぶ際は一度お話を聞いて納得いくか、なにより相性をみて選びましょう。
ステップ7:診療方針
次に紙を1枚用意しましょう。
そして、そこに自分の理想の病院像を書き込んでみましょう。
それは、今いる病院のいいポイントかもしれません、悪い所を反面教師にすることかもしれません。自分の特徴をいかすのもいいし、今はないまったく新しい視点の病院作りもいいでしょう。できる、できないは置いといてまずは理想を書き込みます。
私の場合、自分は患者さんと接するのが好きです。そして、病気を診るのではなくその動物と家族に寄り添うのが獣医師としての理想だと思っています。私に対する人としての評価は優しいと評されます。それが自分の強みならばそれを押し出していこうと思いました。
また、修業時代の最初の病院の院長は優しく熱心で無茶苦茶な時もありましたが憎めない良い先生でした。そして、もう一つの病院の院長はとても嫌な人でスタッフを使い捨てにする人でした。それぞれの院長の顔を思い浮かべながら自分としての院長の理想も考えました。
私は人を引っ張っていくような人間ではない、でも、人を支えて育てるのは好きだからスタッフが伸び伸びと自分の特徴を出せるようなボトムアップな形にしたいと思いました。
それらを書いて目立つところに貼って、開業のスタートをきりました。
ステップ8:場所の選定と診療圏調査
開業においてここが最も大切とされます。いくらいい腕を持っていてもいくら綺麗な病院を建てても場所が悪ければ人は来ません。また、そのエリアに住んでいる人の所得やどれくらい犬猫がいるかライバル病院は近くにあるかなどもとても大切になります。
ここで間違えればその時点で開業が失敗してしまいますので時間をかけてでもしっかりやる必要があります。
最近では動物病院も増えて来ていて、いい土地には動物病院がたくさんあります。しかし、たくさんあるからそこの場所がダメかというとそういうわけでもありませんし、逆に病院がないところがいいところというわけでも決してありません。
その点はだいたい開業したいエリアをコンサルタントに伝え、後はお任せした方がいいかもしれません。
ステップ9:事業計画書と融資申し込み
多くの場合開業するためには数千万円がかかるとされています。
私の場合はテナントを改装したのですが内装費に1600万円、医療機器の購入に2000万円、その他広告や備品などの費用に200万円、運転資金に200万円程度で計4000万円を想定しました。
そのため、自分で数年かけて貯めたお金と親、親族への借金1000万であとは銀行からの融資を3000万円必要としました。
それを集めるのにコンサルタントさんの力を借りて事業計画書を作ってもらい、銀行からお金を融資してもらうことになります。
事業計画書というのは、どういう病院を作り、その病院を開業することでどれくらいの患者がきて、どれくらいの利益が望まれ、ちゃんとお金は返せますよということを銀行に伝える大切な書類になります。ですが、これを獣医師が作成するのは非常に困難だと思います。また、実際銀行で融資の話をするのは本当に大変で何回も銀行に通い事業計画書を突っ込まれ訂正することになります。
コンサルタントとよくコミュニケーションを取りながら突破しましょう。

ステップ10:内装や医療機器リストアップ
ここからは開業前の楽しい時期になります。多くの業者さんと話をして、自分の理想とする病院に近づけるため、内装を考えたり、医療機器を選んだりします。もちろんお金に限りがあるので慎重に選ばないといけませんが開業するという実感が日々わいてきます。ここでお金の感覚がおかしくなります。レントゲン○○〇万円、超音波○○○万円とか言われるとあれ眼圧計○○万円って言われると安く感じてしまいます。信頼できる第三者に見積もりを見てもらい本当に最初からこれがいるのかと問いかけてもらってください。内装もお金をかけ始めると青天井なので線を引いてお金をかけるとこかけないところを考えましょう。
ステップ11:スタッフ集めと広告
内装初めて2.3カ月であっという間に病院ができてきます(テナントの場合)。その間もやることはいっぱいです。各種行政への手続き、電話やネットの契約、チラシの打ち合わせなどなどを考えていかないといけません。そして、もう一つ大切なのがスタッフです。多くの場合は開業前に求人サイトで募集をかけます。そして、来てくれた人を面接し決めていきます。できれば最初は経験者が欲しい所ですがそれはご縁ですのでなかなか思うようにはいかないでしょう。以前勤めていたところからの引き抜きは基本的にはやめといたほうが無難です。以前の職場とは良好な関係を気付いておいた方が後々のことを考えるといいかと思います。もし配偶者が関係者なら心強いですがトラブルもあるので慎重に…
そして、後は広告です。ネットやチラシなどわかりやすさを重視して最後のお金をかけていきます。広告もやり始めると青天井です。そして、色々な人が広告をやらないかと寄ってきますがこれについても費用をあらかじめ決めて置いてあとはその周囲の家族構成(若い人が多いか、家族が多いか、高齢者が多いか)などを踏まえて自分ならどこに広告があれば目に付くかを考えてお金を配分していきましょう。
ステップ12:そして、開業へ
そして、開業です。開業前には周りの病院に挨拶に行ったり、検査機器やパソコンの使い方の確認などスタッフとともに学んでいき、流れを想定しておきましょう。その時点で必要なものがぎりぎりに出てきたりします。一つ一つこなしていきましょう。そして、開業です。
最初はたくさん来ることはないでしょうから1人1人丁寧に診察し今後固定患者さんになってくれるように願いながら日々頑張っていきます。
以上
長々書きましたがこれでも細かいところは結構省いています。
しかし、やってみるとあっという間です。あくまでもこれがスタートライン。ここから先が本番です。もしこれを読んでいる子の中でも開業したいと思っている子がいれば参考になれば幸いです。

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