先日の話…
新患の患者様からのお電話で、
「半年のアビシニアンを飼ってます。小さいころからよく噛む子だったんですけど最近大きくなってどんどん噛む強さが増してるんです。そのせいで、うちの家族は傷だらけです。夜も噛みついてくるから寝れないし、歩いてるだけで襲ってくるから生活もままなりません。もうこのままだと、この子が嫌いになってしまいそうです。いくつか病院は回ったのですが、一向に改善もしないので、先生この子の歯をなくしてください!」
と切迫した様子で依頼されました。
人に例えると恐ろしい話ですが、このようなお話は獣医さんをやっているとたまに伺います。でも、いくら歯を抜いても、根本的にその子の噛む理由の方をなんとかしないとあまり意味がないんですよね。
・遊びの延長で噛むのか
・何か怖くて噛むのか
・何か病気で痛みがあり、気がたっていて噛むのか
猫の攻撃行動には、このあたりの理由が考えられます。なので、この理由に気付いてあげて、対策し、なくしてあげないとしょうがありません。だって、アビの歯をなくして、ご家族は痛みが減るかもしれませんが、結局その猫はストレスや痛みの中では幸せではないからです。また、歯がなくても噛まれるとぼちぼち痛いですしね
そのため、ご家族には、まずは一度来てもらい、その子を診ながら噛む理由についてをじっくり伺うこととしました。
来てもらい、診察してみると、まー確かに僕が顔見ると、怒ってますけどそれほど向かってくる感じではありませんでした。ちゅーるをあげると爪も切れるし…
お話を聞いていると、怒りっぽいわけではなく、何かが怖くてしょうがないという様子もありませんでした。元気、食欲もあり、問診のうえでは、何かを調子が悪いわけでもない…
問診を進めていくことで分かったことは、この子の場合は、幼少期からの遊びがみの延長で、ご家族にかまってほしくて噛んでいる様子でした。
そのため、まずは
1.かまう時間を増やす
2.自動で動くタイプのおもちゃの購入
こういうのやつ
3.ご飯を家のいろいろなところに設置し、ご飯を探し回ってもらう遊びの導入
を勧めてみました。また同時に、気持ちがリラックスする薬(リラックスするサプリはやっていたので)を始めるように勧めました。
しかし、ご家族は、
「それはやるけどれども、一刻も早く痛みがない生活がしたいんです!」
と、強い要望がなくなることがありませんでした。
あーこのままだとこの人は、この子を捨てるか保健所に連れて行ってしまいそうだな…
と思い、そのため、妥協案として犬歯の先端のみを切る手術を行うことになりました。
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