手術の日程を組み、先の対策と薬をお渡しして、その日は終わりました。とりあえず、治療がうまくいき、手術日までにご家族が考えなおしてもらえるといいなー
と思いました。
歯の処置も、人では無麻酔もしくは局所麻酔でやりますが、犬猫では基本的には全身麻酔になります。なんとか、歯を抜く処置は回避しましたが(1歳にもならない子供の健康な歯を抜くのは心が痛い)、健康な歯を切るのはなんとも気乗りしない処置です。
しかし、犬や猫の治療を通して、ご家族に幸せな生活を守るっていうのが獣医の一応のお題目です。(本心は、3:7くらいで動物優先ですが…)
なので、アビちゃんには申し訳ないがやるしかないです。
手術当日、お話を伺うと…
「1日何回も噛まれていたのが、1日1回程度に減ってくれました!夜に噛まれることもなくなり、久しぶりによく寝ることができてます!」
とのことでした。個人的には内心でガッツポーズです。なので、ちょっと期待しましたが…手術については、
「でも、噛まれると痛いからやってください」
とのことでした。無念…(-_-)
ということで、麻酔をかけて処置しました。手術法は「生活歯髄切断術」となります。
犬歯を他の歯の高さ程度に短く切る処置です。もちろんただ切るのではなく、止血、水酸化カルシウム製剤の添加、ボンディング、エッチング、コンポジットレジン…と人の歯に対する処置と同様の素材を用いて切った後の歯を守る処置も行います
だいたい1時間くらいで終わりです。無事麻酔からも覚めて、ご家族に処置の説明、帰宅となりました。ご家族は、本当に嬉しそうにしてくれていました。
これで、噛む回数が減って、ご家族の悩みも解消されて、アビが幸せに生活できることを祈るばかりでした。
しかし、いくつも病院巡っていたって言ってたけど、そこの先生方は、何してたんだ?早めに対策してあげてれば、ご家族もあんなに切羽詰まることもなかったのに…と思う反面、
「後医は、名医※」だわなー
※先に診た医師より後に診た医師の方が治療するうえで有利という意味。この場合、先の先生が気持ちがリラックスするサプリを出してくれてたから、自分はサプリより強い薬を一手目から使えた。
と思い、勉強しないとな思った今日この頃です。
→【獣医の日常】No12:ブリーダー不信と動物の愛護及び管理に関する法律
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