【獣医師執筆】犬の歯周病について(治療)

病気について

獣医さんに歯周病だから治療しないとって言われちゃった

という場合、その後の治療がどのように進むかをざっと解説。

  1. 動物病院での歯周病治療法
  2. 歯周病治療の手順

1.動物病院での歯周病治療法

歯周病は、その程度によって治療法が変わります。評価法は、様々ありますが、例えば、アドプリット(動物病院での診断参照)を用いた評価では、5段階に分かれており、それぞれ…

Stage 4
重度の歯周病の兆候
X線検査やスケーリング、抜歯が必要な可能性が高いです。プロフェッショナルケアと並行して、積極的なホームデンタルケアが必要です
Stage 3
中等度の歯周病の兆候
X線検査やスケーリングの実施や抜歯の検討が必要です。積極的なデンタルケアと併せてご検討ください
Stage 2
初期の歯周病の兆候
動物病院でのプロフェッショナルケアが必要な場合があります。積極的なホームデンタルケアと合わせてご相談ください
Stage 1
ごく軽度の歯周病の兆候
ホームデンタルケアの継続が大切です。継続ができるデンタルケア方法をご相談ください
Stage 0
歯周病兆候なし
ホームデンタルケアの継続による現状維持が大切です
今の状態が維持できるよう定期的なデンタルチェックを受けていきましょう

と別れています(アドプリット参照)。プロフェッショナルケアとは、動物病院における治療で、ホームデンタルケアは自宅でのケアの仕方となります。

実際に動物病院でのプロフェッショナルケアは、下記の順序になります。

2.歯周病治療の手順

動物病院での歯周病治療の手順について解説いたします。※行う施設、獣医師によって異なる場合があります。

①全身麻酔

基本的には、歯の処置は全身麻酔下で行われます。

麻酔かけるなんて危ないじゃないか!無麻酔で歯石除去できるんだろ!それでいいじゃないか!

と考えられる方も多いですが、

無麻酔歯石除去は、危険がいっぱい、百害あって一利あるくらい。

無麻酔歯石除去のリスクとしては、書き出すとボリュームがいっぱいなので別に書きます。

無麻酔歯石除去のイメージとしては、人が交通事故に合って、骨折れてて、感染している傷口に対して、とりあえず汚れを拭き取って表面的に綺麗にして、治りました!って言っているイメージ。臭いものに蓋をしたってとこです。

大切ことは表面ではないです、その奥の方

もちろん、全身麻酔のリスクも確かにあります。私が麻酔をかける際も検査をこれでもかってくらいやって、さらにご家族にもこれでもかってくらいお話をし、了承いただけた場合に行います。

リスクとメリットのバランスが大切、ノーリスク、ハイリターンはありえません。

②歯石除去

麻酔をかけたら、まずはスケーリングを行います。下記のような歯科ユニットを使って、歯垢、歯石を除去します。

その後、診断のところで記載した歯科レントゲンや探針を用いて、歯周病の程度を確認します。

③抜歯

抜歯の適応の歯は、抜歯となります。抜歯が適応かどうかは、レントゲンなどを用いてある程度指標はありますがその子の月齢や麻酔時間なども考慮しつつ、その場で判断していきます。

抜歯にはエレベーターと言われる下記のような道具を使い、歯と骨、靭帯を分離していきます。

抜歯を行った後に、溶ける糸を用いて歯肉を縫合します。

④研磨

残った歯は、研磨剤を用いて研磨します。歯面をつるつるにすることで歯石の再付着を防ぎます。

⑤覚醒

すべての歯の清掃が終わったら麻酔を止めて、終了です。

こんな歯を

このようにします。

⑥術後

歯を抜いた数や位置などによっては、1~数週間は柔らかい、ハンバーグの種くらいの固さのご飯を与えてもらいます。

このように歯周病治療って結構大変な手術です。そこには、高い技術と時間がいることです。

手術を安全に行うためには、病院選びは慎重にしましょう。

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