【獣医師執筆】犬(ペット)を飼うことで得られる人へのメリットについて

ペットとの生活知識

どんどんペットフードの費用も医療費も上がっていくもう犬飼うのは辛いわ!

子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしょう

子供が幼年期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう

子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう

そして子供が青年になった時、

自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう

これはイギリスの有名な諺です

犬は昔から人とともに歩んできたパートナーです。もちろん単純に実感として犬を飼うことで幸せを感じる人も多いと思います

しかし、今回は犬を飼うことで得られるメリットについて書かれた論文から幸福的な観点以外の医療的視点をお伝えします。

これを読むことで犬を飼うことで得られる人にとってのメリットについて理解し、なおのこと犬を飼いたい、飼い続けたいと思ってもらえると嬉しいです。

  1. 人と犬が触れ合うことで出る幸福ホルモンに関する論文
  2. 人とペットがともに暮らすことで得られるメリットに関する論文
  3. 子供とペットに関する論文
  4. 高齢者とペットに関する論文

1.人と犬が触れ合うことで出る幸福ホルモンに関する論文

『犬と人は触れ合うことで、犬と人ともに幸福ホルモン(エンドルフィン)増加、人ではストレスホルモン(コルチゾール)減少』

Neurophysiological correlates of affiliative behaviour between humans and dogs - PubMed
Few physiological parameters for positive human-companion animal contact have been identified and those that are established have all been in humans. The implic...

⇒これは最もわかりやすい犬を飼うことのメリットですね。また、犬が人と触れ合うことで幸福を感じているということが何よりもうれしい事です。これは犬としても人と一緒にいることがプラスになるということを示しているため、犬と人ともに一緒にいることが互いのプラスになることがわかった喜ばしい論文です。

2.人とペットがともに暮らすことで得られるメリットに関する論文

人がペットと暮らすことで得られる身体への影響について調べた論文からいくつかを抜粋してみます。

『ペットを飼っている人は、ペットを飼っていない人よりも、体格指数 (BMI) と社会経済的地位が類似しているにもかかわらず、収縮期血圧が有意に (P=0.03) 低い。またはペットなしでは、収縮期血圧と拡張期血圧の両方が、ペット(犬または猫)を飼っている参加者の方が、ペットを飼っていない参加者よりも有意に(P <0.01)低かった』

⇒ペットの飼育は、血圧を適正に下げてくれる

『ペットの飼い主は、ペットを飼っていない人よりもトリグリセリド レベルが有意に低かった (109 対 192 mg/dL; P <0.01)』

『犬を飼っていない人は、定期的に犬の散歩をしている犬の飼い主よりも、血清コレステロール値の上昇や糖尿病を報告する傾向が高かった』

⇒ペットの飼育は、脂質代謝異常を整えてくれる

『犬の飼い主は、勝ってない人よりもかなり多くの歩行と活動を行うため、一日に必要とされる活動を達成する可能性が 54% 高くなりました』

『犬を飼った人々の間で、自己申告による娯楽目的のウォーキングが週に 22 ~ 31 分増加したことがわかりました』

⇒犬を飼うことで、人は活動的になる

『過体重または肥満は、犬を飼っていない家族よりも犬を飼っている家族の方が低かった (しかし、散歩にいっていることが前提)』

⇒犬との散歩は、家族の体重を適正に保つことができる

『ペットを飼っている人は、安静時のベースラインの心拍数と血圧が大幅に低下し、ストレスに反応した心拍数と血圧の上昇が大幅に小さくなり、ストレスの停止後にこれらのパラメーターがベースラインにすばやく回復しました。』

⇒ペットを飼っていることは、心拍、血圧に良い作用を与える

『犬の所有者は、死亡率の低下と強く関連しており、犬を所有していない人の死亡率は、犬の所有者よりも 4.05 倍高かった (心血管系異常がある場合)』

⇒犬を飼うことが長生きに繋がる。

参考文献:ペットの所有と心血管リスク『アメリカ心臓協会からの科学的声明』

Pet ownership and cardiovascular risk: a scientific statement from the American Heart Association - PubMed
Pet ownership and cardiovascular risk: a scientific statement from the American Heart Association

3.子供とペットに関する論文

では、子供に対してはどのような影響があるでしょうか

『犬の所有または犬の散歩は、子供とその親の体重と関連していますか?』

Is dog ownership or dog walking associated with weight status in children and their parents? - PubMed
Dog ownership may offer some protection from overweight among young children. It is important that families with a dog are encouraged to walk or play with it re...

⇒犬を飼うことで、幼児の肥満をある程度防ぐことができます。

『家族の犬の所有権と子供時代の身体活動のレベル: イギリスでの子供の心臓と健康に関する調査結果』

Family dog ownership and levels of physical activity in childhood: findings from the Child Heart and Health Study in England - PubMed
Dog ownership is associated with higher physical activity levels in adults; whether this association occurs in children is unknown. We used accelerometry to exa...

⇒子供は、犬を飼うことで活動的になる。

『10-14歳の子供達の75%は精神的な苦痛があるときにペットを探し求める』

⇒ペットは子供の心の支えとなる

その他にも

・注意欠陥多動性障害など,注意力に障害がある 子供の治療に動物を利用すると効果が高まる

・手術後に短時間でも犬と接触した子供は 身体的および精神的痛みが低下

・ペットの存在で子育てに対する興味を強く 持つようになる

・5-8歳の児童でペットを飼育している家の子供は 出席日数が3週間多い

など子供にも大きなプラスの影響があることがわかっています。

3.高齢者とペットに関する論文

では、高齢者に対しての影響はどうでしょうか?

『ペットの世話が高齢者の生存日数を予測する重要な要因として特定されました。生存日数は、ペットの世話によって直接的に延長され、調査対象者の年収によって間接的に支えられました。』

参考:日本におけるペットの世話と高齢者の2年累積生存率の関係

『配偶者を亡くした一人暮らしの女性 動物がいると病気になりにくい』

参考:死別時のペットの所有権と健康状態。

『配偶者を亡くした一人暮らしの老人はペットがいると重度の抑欝の発症が大幅に改善される』

参考:高齢者の健康を支える要因としてのペットの所有と愛着

と多くの論文で高齢者がペットを飼うことのメリットをあげています。

まとめ

ペットを飼うことでこれほど多くのメリットが得られます。もちろん、このメリットはあくまでもその子が好きで、その子にも愛され、絆があって初めて生まれるメリットです。ただそこにいればいいというわけではありません。しかし、上記のことをきっかけにペットを飼い始めてもいいとは思います。何よりその後ペットに愛されることをまず優先してください。そうすればペットもあなたに思いもよらない幸せをもたらしてくれるかもしれません。

参照:JBVP動物と暮らす本当にいい効果(石田卓夫先生)

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